ネット将棋で勝つ角頭歩の研究

ネット将棋で勝つせだの研究

将棋マイナー戦法の研究です。

【角頭歩戦法】対角交換拒否から居飛車保留型

前回までの記事で後手角交換拒否から振り飛車にした場合の指し方を見ていきました。

今回記事では角交換拒否から振り飛車と見せかけ居飛車に切り替えてきたとき(居飛車保留型)の対応を研究します。

 

居飛車保留型に対する指し方】

初手から、▲7六歩△3四歩▲8六歩△4四歩▲6六角△3二銀▲9六歩△9四歩▲1六歩△1四歩▲7八銀△8四歩(図1)

後手は先手が▲7八銀と上がったのをみて△8四歩居飛車を指します。一度▲7八銀とあがってしまうと下記記事のような向かい飛車にして▲6八銀と繰り出す指し方はできません。

後手角交換拒否の指し方~▲6六角を咎めてきた場合~① - ネット将棋で勝つ角頭歩の研究

後手角交換拒否の指し方~持久戦~① - ネット将棋で勝つ角頭歩の研究

f:id:TOFUtoLEFTBALL:20210418131716p:plain

図1

図1から、▲8七銀△4二玉▲8八飛△7二銀▲7五歩△6四歩▲7六銀△3一玉▲4八玉△6三銀▲3八銀△5四銀▲3九玉(図2) 

後手が居飛車でも振り飛車でも▲8七銀まで目指します。後手居飛車であれば向かい飛車に振り、▲7五歩~▲7六銀と銀を繰り出します。後手の囲いはミレニアムを目指しても良いですが、繰り出した7六の銀で速攻を仕掛けるため美濃囲いに囲います。

f:id:TOFUtoLEFTBALL:20210418133104p:plain

図2

図2から、△5二金▲8五歩△同歩▲同銀△6五銀▲5五角△6三金▲7七角△9三桂▲9四銀(図3)

3一玉型の片美濃まで組んだら▲8五歩から速攻を仕掛けます。△6五銀に対して単に▲7七角でもよいが、一度▲5五角とした方が△6三金と後手金を吊り上げ本美濃を崩せる。

f:id:TOFUtoLEFTBALL:20210418133238p:plain

図3

図3から、△8五歩▲6六歩△7六銀▲9五角△4五歩▲7四歩△同歩▲7七歩打△6七銀成▲6五歩(図4) 

図3では後手の方が飛車の打ち込む隙が多く、後手から飛車交換はできない。▲6六歩、▲7七歩打には将来△4五歩と角道を開けた時に飛車に当たらないようにする意図もある。最後▲6五歩は次の▲6四歩で先手の角成に繋がり厳しい。△同歩も▲6四歩打で同様。

f:id:TOFUtoLEFTBALL:20210418133708p:plain

図4

図4から、△5五角▲6八金△同成銀▲同飛△4二飛▲5六銀打△4六歩▲5五銀△4七歩成▲4四歩打(図5) 

先手後手ともに8筋では飛車の活用が難しく、6筋4筋へ転換する。後手の△4六歩を無視して角を取りにいき、▲4四歩打で飛車先を止める。△4六歩を▲同歩としてしまうと△同角で△5七角成が残り、先手が悪い。

f:id:TOFUtoLEFTBALL:20210418133959p:plain

図5

図5から、△5七と▲8八飛△4七歩打▲8一角打△6二金▲4六銀△5六金打▲5七銀△同金▲4五角成(図6)

先手はとにかく後手飛車先が止まっている間に▲4六銀と後手のと金にあてて攻めを催促。▲5七銀では銀損だが、後手の飛車先が止まっていれば後手は4八の地点から攻められない。

f:id:TOFUtoLEFTBALL:20210418134306p:plain

図6

図6から、△5六銀打▲5五馬△6三金▲5八歩打△5四歩▲4三歩成△同飛▲1一馬△4八歩成▲2八玉(図7)

後手飛車を活用しようと△5六銀打と馬にあてる。代わって△4八銀は▲2八玉で重い攻めが続かない。後手は持ち駒がなく攻める手がない。▲4三歩打に飛車と馬の取り合いはやはり飛車がなくなれば先手が良いので△同飛ととるしかない。最後△4八歩成は▲2八玉とかわしておけば良い。

f:id:TOFUtoLEFTBALL:20210418134409p:plain

図7

図7から、△4七金▲4四香打△同飛▲同馬△4二香打▲6六馬△3八と▲同金△同金▲同玉(図8)

最初△4七金に代わって△3八とは▲同金で△4九飛成は▲5七歩、△4七金は▲4四歩打で先手が良い。後手攻め駒を清算した図8は後手大駒を無くし攻めが切れている。

f:id:TOFUtoLEFTBALL:20210418134653p:plain

図8

図8から、△5五銀打▲8四馬△4七銀成▲2八玉△3八金打▲1八玉△2二玉(図9)

後手攻めるなら金駒を並べるしかないが、王手は追う手で捕まらない。後手の左香がないため端に逃げれば先手玉は捕まらない。

f:id:TOFUtoLEFTBALL:20210418134844p:plain

図9

図9から、後手の持ち駒はなく、攻める手はない。先手はもう1歩手に入れれば▲4三歩打~▲4二歩打~▲5一馬で良い。1二あたりに飛車を打てれば後手はすぐに寄ってしまう。

 

【対角交換拒否から居飛車保留型まとめ】

・後手が角交換拒否すれば居飛車でも振り飛車でも▲8七銀とする。

・後手居飛車であれば▲8八飛と向かい飛車に振る。

・左銀を繰り出すため▲7五歩~▲7六銀と構える。

・先手の構えはミレニアムでも良いが速攻を仕掛けるため美濃にする。

3一玉型片美濃に組めれば▲8五歩から速攻を仕掛ける。

 

先手角頭歩戦法のは後手の動きを見てから先手が居飛車でも振り飛車でも指せるようになっています。3手目▲8六歩が決して無駄にはならず、後手咎める方法はないといっても過言ではないでしょう。

 

次回は先手角頭歩戦法に対し後手早石田の変化を見ていきます。

 

おわり