ネット将棋で勝つ角頭歩の研究

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将棋マイナー戦法の研究です。

【角頭歩戦法】後手角交換拒否の指し方~▲6六角を咎めてきた場合~③

前回の記事では"②棒銀で角頭を攻める。"場合の指し方についてみていきました。

後手角交換拒否の指し方~▲6六角を咎めてきた場合~② - ネット将棋で勝つ角頭歩の研究

 

今回の記事では”③△4五歩として角交換を狙う”についてみていきます。

 【③△4五歩として角交換を狙う】

後手が角道を開けて角交換を狙う指し方を見ていく。しかし結論からいうとこれは最も悪手といえる。角交換を恐れ一度角交換を拒否しながら再度角交換を狙う指し方は以下3点から賢い選択ではない。

・△6六角▲同歩で後手の手損

・後手の△4五歩が浮いていて後手陣に隙ができる

・先手は8八飛と回れるので▲5八金から本美濃に囲える

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基本図

基本図から、△4二玉▲6八銀△4五歩▲7七桂△6六角▲同 歩△6二銀▲4八玉△3二玉▲3八玉(図19)

角交換をするにあたってまずは△4二玉と上がらなければならない。△4二玉に代わって△4五歩であれば▲2二角△同銀▲4三角打がある。図19からの指し方は△6四歩を突いて駒組み、突かないで駒組みの2通り。

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図19

【△6四歩を突いて駒組み】

図19から、△6四歩▲6七銀△4二金▲5六銀△6三銀▲6八飛△5四銀▲6五歩△同歩▲同銀△同銀▲同飛(図20)

後手が△6四歩を突いてくれば6筋に争点が生まれる。▲6五歩から駒を捌いて先手十分。

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図20

図20から、後手は金取りを受けつつ▲6三飛成を防ぐには△6二歩打ちしかないが▲7八金と上がって後手の角打ちを消してゆっくり囲っていけば先手有利の将棋になる。

先に角交換するか、後から角交換するかの違いで結局先手は角頭歩陣形となっている。

【△6四歩を突かないで駒組み】

角頭歩陣形に対して△6四歩を突く指し方は6筋が争点となってよくない。次は△6四歩と突かないで駒組みした場合を見ていく。

図19から、△4二銀▲1六歩△1四歩▲5八金△2二玉▲2八玉△3二金▲3八銀△4三銀▲6五歩△5四歩▲5六歩(図21)

先手美濃に囲っていく。通常の角頭歩と違って先手飛車が8筋に回っているので左金が7八金にする必要はなく、5八金と上がって本美濃に囲える。先手の陣形は十分固く、図21からは8筋から仕掛けていく。

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図21

図21から、△2四歩▲8五歩△同歩▲同飛△同飛▲同桂(図22)

8筋から攻めて十分。謝るなら△8四歩打ちは▲5六角打ちがあるため△8三歩打だが▲5七銀から駒組みして陣形差で先手が十分指せる。

図22から、△8二歩打は▲8三歩打△同歩▲8二角打、自陣飛車は▲8四歩打(取れば▲6六角打)、△8九飛車は▲8二飛車で先手優勢。▲6六角打があるため後手は強く戦えない。よって敵の打ちたいところに打ての△6六角打ちが最善。

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図22

図22から、△6六角打▲8二歩打△8三飛打▲8一歩成△同飛▲6四歩△同歩▲2三桂打(図23)

途中、▲6四歩に△8四飛であれば▲9六角打~▲6三歩成、何もせずに▲6三歩成は△同銀▲7三桂成、△5二金は▲7三桂成△同銀▲6三歩成(△同金は▲7二角打)、

△7二金も▲6三歩成△同金(△同銀は▲6五桂打)▲7二飛△7一銀(それ以外は▲6四歩打)▲8二歩打△同銀▲3二飛車成~▲7二角打で先手が良い。

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図23

図23から、

△同玉は▲4一飛打△2二玉▲7二角打

△同金は▲7三桂△同銀▲6三飛打

どちらも後手陣形は壊滅で先手優勢。

本来△7四歩~△7三桂と跳ねれば▲8五歩の攻め筋はなくなるが、後手は△4五歩としてしまったがゆえに△7四歩が突けない(突けば▲5五角打ち)。よって△4五歩とするぐらいなら最初から角道を止めない方がよっぽど賢い指し方となる。

【③△4五歩として角交換を狙う まとめ】

前述したように一度角交換を拒否しながら再度角交換を狙う指し方は悪手となる。角交換できれば先手は角頭歩陣形となる。

・△6四歩と突けば6五の地点が争点となる。

・飛車が8筋に回った分▲5八金から本美濃囲いに囲える

・△4五歩とした分▲5五角や▲6六角の筋が残る

 

【後手角交換拒否から後手がすぐに咎めようとした場合 まとめ】

以上より、後手角交換拒否の△4四歩▲6六角からすぐに角出を咎めようとする後手の指し方はいずれも悪手ということがわかりました。

①△6五歩と突いて角を追い払う。

⇒一歩交換から逆に6筋を逆襲。

棒銀で角頭を攻める。

⇒▲7七桂が角頭を守りつつ8五の地点にもきくため棒銀成立せず。

③△4五歩として角交換を狙う。

⇒角頭歩と合流。△4五歩でコビンが開く、▲5八金から本美濃に組める点から本来の角頭歩陣形より戦いやすい。

 

次回からは△4四歩▲6六角から後手が持久戦としてきたときの駒組みを研究します。

 

おわり