【△３二銀戦法】対中飛車～▲５六銀型～
今回記事は△３二銀戦法に対して先手▲５六銀型の中飛車を採用してきたときの指し方を見ていく。
前回記事図1から、▲５六銀△３一玉▲３八玉△５二金▲２八玉△７二飛▲６六角△７五歩▲同 歩△同 銀▲４八角(図1)
先手▲５六銀型は角頭が薄く、後手から積極的に仕掛けていく。△３一玉～△５二金で升田美濃に囲えば、△７二飛で袖飛車に振って△７五歩を狙う。先手はこの攻めが分かっていても受けることができない。
先手は角を▲６六角～▲４八角と逃がす。
図1から、△６四銀▲６六歩△３四歩▲３八銀△７四飛▲７八飛△７六歩打▲６八金△５五銀▲６五銀△７二飛(図2)
６筋の歩交換に成功すれば次は△６四銀～△３四歩で５五の歩を狙う。△５五銀を防ぐために先は手飛車と銀を動かせなくなってしまう。
先手何もしてこなければ△７四飛～△７三桂～△３三角～△２二玉と形を良くしてから△７五銀～△８六歩を狙えば満足な展開となる。
今回は▲７八飛でぶつけてくるが△７六歩で抑えておく。飛車交換になれば後手の方が飛車の働きが良いため、せっかくのリードがなくなってしまう。
後手は予定通り△５五銀と中央の歩をかすめ取ってしまう。対して先手は次の△６六銀まで許すわけにはいかないのであらかじめ▲６八金と上がり、▲６七金を用意しておく。
図2から、▲６七金△７七歩成▲同 金△８六歩▲同 歩△６六銀▲同 角△同 角▲７三歩打△同 飛▲７四歩打△８三飛▲６六金(図3)
先手▲６七金で△６六銀を受けるが、構わず△７七歩成。これを▲同飛は△同飛成で囲いが固い後手が指せる。▲同桂は△６四歩▲７六銀△５六銀(参考図1)で先手潰れている。
よって本譜▲同金だが、△８六歩の突き捨てを入れてから△６六銀と出る。▲同角△同角で▲同金と取れば飛車が抜ける。よって▲７四歩打から歩を連打するが、△８三飛で横にずれれば突き捨ての効果で次に△８六飛と走り金桂両取りがかかる。
図3から、△８六飛▲７六飛△８九飛成▲７三歩成△同 桂▲同 飛成△１五歩▲７九歩打△１六歩▲４六桂打△３三角打(図4)
金を取られまいと▲７六飛でぶつけてくる。△同飛もあるが▲同金と取った形が金銀紐が付くので△８九飛成としておく。
先手も▲７三歩成から飛車を成り込むが後手は歩５枚と角桂があり、△１五歩の端攻めが成立する。▲同歩は△５七桂打▲３九金△１八歩▲同香△１九角(参考図2)の美濃崩しの手筋が決まる。
よって▲７九歩で龍の横効きを止めるが△１六歩と端を詰めれば玉は狭く、▲１八歩打と打つ歩もない。▲４六桂が▲３四桂から▲２二銀打の詰めろを掛ける先手の反撃だが、△３三角打が金取りに当てつつ詰めろを消す一手となる。
図4は先手の詰めろが消され、△６六角が金をとりつつ先手玉の逃げ道を塞ぐ一手となる。金を逃げても△９九角成～△３三銀で先手の攻めは切れてしまう。
はっきりと後手優勢の局面となる。
以上より△３二銀戦法に対し▲５六銀型の中飛車は以下のように指せばよい。
①升田美濃に囲い、△７二飛で△７五歩を狙う。
②７筋交換後△７四飛～△７三桂と好型に組んでから、棒銀を狙えば後手の攻めが成立する。
③先手が飛車をぶつけてきたときは一旦△７六歩と抑えてから、△５五銀と５筋の歩を回収する。
次回は対中飛車持久戦の指し方を見ていく。
つづく
